今回募集しているボランティアの対象についてご意見やお問合せがあったので、みえ災害ボランティア支援センターがどのような考えでボランティアを募集しているかご紹介します。
(長文になりますがとても大切なことなのでご興味を持って頂けた方はぜひご一読ください)
○当センターが考え実践している安全対策について
被災地でのボランティア活動は、日常生活に比べてリスクの高い状況での活動になります。よって安全に対する配慮が大変重要です。
災害現場のボランティア作業において特に注意が必要なのは
- 安全配慮がされていない環境(側溝の蓋が外れていたり土砂の中に鋭利なものが混じっていたりすること)による事故やけが
- 粉塵による肺や喉、目や粘膜系への影響
- 土砂に含まれる菌などによる感染症
- 慣れない作業による過労
などがあります。
災害ボランティア活動では、それらのリスクを正しく理解して備えることができるようにすることが大切だと思っています。
当センターではまず、現地災害ボランティアセンターと連絡をとり合い、どのような活動になりそうか事前に情報を得てから現地に向かってもらいます。可能性がある危険についてできるだけ事前に想定して持ちものに追加のお願いを行ったり、オリエンテーションの内容に反映します。
添付画像は当センターが工場で安全担当をされている方や看護師の方などに協力してもらって作成した、オリエンテーションでボランティアの方々に配付する資料です(現在も鋭意バージョンアップ中)
参加のしおり内の安全や心構えについての部分(抜粋)
現場注意事項
ヒヤリ・ハット集
破傷風について
これらの資料を基に出発前のオリエンテーション(約1時間)で安全第一の心構えについて、具体的なリスクとその予防策についてしっかり注意喚起を行います。
(ヒヤリハット集は毎回、参加者アンケートやリーダーからの聞き取りを元にバージョンアップしています)
続いて、現場に着く前に参加メンバーでチームをつくります。
過酷な任務をこなしているプロの方々の方法を参考に、2名(又は3名)を【バディ】として現場行動の最小単位になってもらうよう呼びかけています。
作業中はもとより、被災地内でトイレに行く際や休憩などでもバディ単位で行動してもらえるようお願いし、安全や健康についてのセルフチェックと共に相互チェック(お互いの顔色を確認したり声かけをしたり装備を確認する)をお願いしています。
加えて、今回の支援先(長野市災害ボランティアセンター)では5,6名程度を1班としてマッチングを行っていますのでそのやり方に合わせ、班員の中で最も体力が少ないと思われる方に休憩などのタイムキーパー役をお願いする予定です。
また、1日の活動が終わった後は振り返りのミーティングを行い、自分たちの活動について、そこで感じたことなどを交流し合います。
さらに、帰路早い段階に必ずお風呂タイムを入れて心身のリフレッシュを図った上で帰路につくように行程を組んでいます。
被災地からの帰路では改めて「惨事ストレス」についての資料に目を通してもらい、自分の心に起こりえる変化について事前知識を持ってもらいます。
惨事ストレスに関する資料
しかし、これだけの配慮をしても万が一の事故は起こるものです。起こった場合に備え、参加するボランティアの中から選んだコーディネーター役の方には全員配付する資料とは別に安全衛生マニュアルや応急対応マニュアル、緊急連絡先リストを渡し、三重の事務局側ではボラパック活動中24時間対応する担当者を決めて定時報告を受けつけ、万が一の時に備えます。
また、ボランティア保険の加入を参加条件にして、万が一のケガや病気、そして【賠償責任:活動先で他者をケガさせてしまったり、ものを壊してしまうリスク】に備えてもらいます。
バスや宿泊の手配は旅行会社(又はバス会社)を通じて行うことで、移動中や宿泊中の安全性を高めると共に万が一の際には特別補償規程による補償金で医療費を賄えるようにしています。
○参加要件の「10歳以上」について
参加要件については現地の災害ボランティアセンターとも相談した上で、現地センターでの注意喚起とは別に、独自で上記のような安全対策を講じています。
10歳くらいの分別があれば、これらの話をしっかり聞き、必ず大人と一緒に行動してくれるなど、自分自身の安全に充分配慮して活動できるかどうか自己判断できる仲間であると考え、一つの目安として「10歳以上」としました。
○「心身共に健康な方」について
災害現場は日常生活の空間に比べて間違いなくリスクが高い場所です。そして、体力的にも精神的にもストレスがかかります。だれでもが準備も何もせずに行って良い場所ではないと考えています。
適切な装備や心構えが必要です。
しかし、難しく考えて頂く必要は無いとも思っています。
添付させて頂いた安全や衛生についての資料をしっかり読んで理解し、装備や心構えをしていただければ、多くの方が参加できる活動だと考えていますし、そのためのお手伝いこそが当センターの役割だと考えています。
ただ、自分の安全や体調について他人任せだったり、自分で責任を取れない方は「健康」な方とは言えないと思います。
- 往復6時間程度のバス移動の中でしっかり休めること
- 車中泊のあと、朝から15時くらいまで自分の体調に合わせて現地で活動する体調を自己管理ができること
- 被災地ではストレスから激しい言葉遣いが交わたり投げかけられる事もありますが、そういう言葉を受け止め、自分の中で対処できること
- ハラスメント行為や明らかな犯罪行為に直面した場合には我慢せずチームの仲間に相談する勇気があること
今回のボラパックに関して言うと、これらの条件を自己管理できる方を「健康」な方と捉えています。
例えば、仮に慢性疾患がある方でも災害現場というストレスフルな状況に自分の体調や投薬その他を合わせられる方は健康な方だと思います。
移動や作業にハンディキャップを持っていてひとりでは参加が難しい方でも、ご友人などサポートメンバーを誘ってチームとして参加したいとお申し出頂ける方は充分「健康」だと考えます。
○ボランティア活動の【真の目的】は泥を減らすことではありません
当センターが呼びかけるボランティア活動の
【真の目的】は、
被災された方を勇気づけ、元気づけ、ほんの少しでも笑顔になって頂くこと。
みえボラの合い言葉は
「【み】んなの
【え】がおが みたいから」
です。
もちろん、片付けが進むことも大切ですがそれはボランティア活動の「結果」であって、ボランティア活動の「目的」ではありません。
笑顔を見るための活動に大切なのは、体力よりもむしろ【思いやる心】ですし、多くの方が駆けつけて【声をかけ合うこと】だと考えています。
どうか一緒に、被災された現地に笑顔を咲かせに行きませんか?